------   傑作映画館    ------


● 
虹色ほたる
   監 督 :宇陀鋼之介
   出 演 :ユウタ、さえ子、ケンゾー、
   ジャンル:アニメ(ファンタジー)
   2012年  日本


 
注)以下、ネタバレだらけです!

【あらすじ】 
 ユウタは小学6年生、大好きだった父親を交通事故で亡くし、ダム湖のそば、思い出の場所にカブトムシを採りに来ますが、カブトムシは採れず代わりに変なおじいさんに会います。
 そのすぐ後、天候が急変してどしゃ降りになりユウタは泥水に流され崖を転落してしまうのです。
 … 目が覚めた時、ユウタはダムができる一年前にタイムスリップしていたのでした。
 ダムの底に沈んだはずの村がそこにあるのです。
 ユウタは自分の事をいとこのユウタ君と呼ぶ女の子・さえ子の家に導かれ戸惑いながらも仲良くなったケンゾーやさえ子と楽しい夏休みを過ごすのですが、さえ子は実はユウタと同じでした。
 ユウタが父を亡くした事故の時、横を歩いていたさえ子と彼女の最愛の兄は事故に巻き込まれて兄を失ったのでした。
 変な爺さんは氏神様みたいな感じで、二人をタイムスリップさせた張本人でした。
 その説明では、二人は元の世界に戻るとここでの記憶は全て無くなるとのことです。
 さえ子はお兄ちゃんのところに行く(=死ぬ)、というのをユウタは絶対探しに行くから、と思いとどまらせるのです。
 しかし、さえ子の姿が消えた後、ユウタもケンゾーもさえ子の記憶は全く無いのでした。

 数年後、ケンゾー達の主催でダムサイトで「蛍を見る会」が開かれます。
 何故かそこにやって来たユウタ、そこには視力を失ったさえ子も父親と一緒に来ていました。
 夕方になりユウタはさえ子をほたる見物に誘います。
 ふとどこかにまた現れた爺さんは「覚えていないはずなんだが?」とぼやきながら、でも嬉しそうに伝説の宮前ボタルを出現させるのです。
 ダム湖の底に昔のままの村の風景が広がり、さえこの目が開き二人の記憶が戻るのでした



ユウタは引越しのトラックに乗せてもらって村をでる。
二度とここへ戻れないと知りながら…。


【感想】
 webでは、大ヒットの「君の名は」がこの作品のパクリだ、と言う記事がありましたが、私には少しピントがずれているように思えました。
 それはさておき、この絵は風景と人の描き方の差が激しすぎ、人がチラチラ見難く、鬱陶しい髪の描き方と言い、わざとタッチを変えた所も目立って素人っぽいし、あまり好きではありません。
 風景の細かい描き方に比べると意図的にそうしたのでしょうが、私的には失敗ですし稚拙だと思います。
 先に悪口を書きましたが、あとは好きです。
 ちょっと昔の田舎の風景、駄菓子屋や普通の道端の風景がよみがえり、それを微かに覚えている者のノスタルジーでしょうか、もう消えて見られない光景が広がります。
 ここ宮前村のように湖底に沈まなくっても、容赦なく壊され作り変えられていくか、朽ち果てるかなのでしょう。
 新しい物が出来た時、それ以前は何があったのか、覚えている人は少ないと思います。
 そんな以前の風景や、人の事をふと考えてしまうのですね。
 氏神様みたいなお爺さんの登場も、ストーリーは好きです。
 主題歌はユーミンが歌います。


  2018.11.    ................ 傑作映画館の目次ページへ